さらに件の支店からクルマで20分ほど走り、レガシィ 2.0 GT DIT があるという支店へ。
着いてみると、整備待ちやら、その他のお客さんの BM/BR型 レガシィ がたくさんあって、一体どれが 2.0 GT DIT なんだ?
う〜〜む。BM/BR レガシィ も好調なのね。
と、軒下に止められた 1台の BM レガシィB4 を発見。おおっ!フロント バンパー形状が違うぞっ!これこそもしやあの ----- | |
ショールームに駆け込むと、早速 「レガシィ 2.0 GT DIT の試乗をお願いしたいのですが。」 と、フロント の キレイな女性 に伝えた。
「少々お待ち下さい。」
いつもなら、美しい女性の心を掴もうと オヤヂギャグ のひとつでも飛ばすところだが、今から乗る クルマ は、富士重工業 の 技術陣 が、渾身の力を込めて送り出す1台なのである。そんな不浄な 「心」 で乗っていい訳ないだろう。
心頭滅却・・・心頭滅却・・・煩悩退散・・・煩悩退散・・・。
私は努めて クール を装い、ショールームを出ると、初めて対面する レガシィ 2.0 GT DIT のエクステリアを丹念にチェックし始めた。 |
| クリスタル ブラック・シリカ のその レガシィ 2.0 GT DIT は、とても引き締まって見える。
そもそも、BM/BRレガシィ を初めて見たときも、そう大きな クルマ だとは思わなかった。
第一、重量は ほぼ BL/BP型 と据え置き だったし、いくつもプラットフォームが持てる訳ではない 富士重工業 の 看板である レガシィ が、単一のシャシー で グローバル市場 で対等にライバル達と渡り合っていくためには、大柄な欧米人の体格を考慮すれば、どうしたってこれくらいのサイズは必要だったに違いないからだ。 |
その レガシィ 2.0 GT DIT の外観上の 2.5GT との唯一の相違点が、このガンメタリック塗装 + 切削仕上げ スポーク の18インチホイールだが、もちろんホイール自体は専用ではなく、2.5i Sパッケージ に標準のホイールの仕上げを変更したものである。
また、これに噛み付くジャーナリストが出てきそうだが、装着された ブリヂストン ポテンザ RE050A (225 45R18)という OEMタイヤ と合わせて、パフォーマンスが不足しているとは思えないし、そのガンメタリックのカラーが、どことなく BC5 レガシィRS の 「悪そうな」 (なにが?)雰囲気を漂わせていた、6スポーク の 15インチホイール とイメージが重なって嬉しくなってしまう。 | |
| リヤに回ると、ちょっと挑戦的な雰囲気を漂わす 専用テールパイプ・カッターが目を引く。
トランクリッドに貼られた 「DIT」 のオーナメントも、ささやかながら オーナー の満足感を高めることだろう。
しかし、何より、ガンメタリックのホイールが全体的な雰囲気のスパイスとして効いている。
このクルマの本質は、ゴテゴテと無様なエアロパーツで徒に 「こけおどし」 のハイパフォーマンス を誇示するところにはないのだ。 |
ドアを開けて室内に目を移すと、控えめなカーボン調の加飾パネルと、アルミペダルがそのポテンシャルを伝える。
シートは、センター部が スポーティ・クロスのファブリックに、サイドが 合成皮革 の組み合わせで、ブルーステッチ の入る専用品が奢られている。
いやいや、もういいよ、早く走ってみたい! | |
| 支店を出ると、日曜日の夕刻の混雑が始まっていた。
ちょっとその渋滞の列の仲間入りをして、ダラダラと 1、2分 流してから、空いた高架道路へステアリングを向ける。
右折信号が点灯する。胸の鼓動が抑えられない。
ゆっくりと右折。前方にクルマの影は 1台 も見えない。 |
わずか 380km の下ろしたての 新車 であることを気遣いながら、ゆっくりと、しかし深々とアクセルを踏み込んでいく。
リニアトロニックCVT のもたらすシームレスで、どこまでも続く加速感に圧倒される。マニュアルモードでも、S#モード でもない。まだ Iモード のままだというのに!
そのパワーフィールは、EJ25ターボ が、風にその幹をしならせる 「竹」 だとすれば、樹齢 100年くらいの 「天然杉」 だ。どこから踏んでも 滑らかで豊かな スバル・ボクサー の ビート感 とともに、溢れ出すトルク。がっちりとした ボディ と 剛性感に裏打ちされた シャシー の安心感は、もうひとつ上のクラスのスポーツセダン、あるいはスポーツカーでも比べるものがない。
はるか先の信号が黄色になる。2km 足らずのストレートはあっという間に終わる。
Uターンして支店に戻る道すがら、S#モード で パドルシフト を試してみる。瞬間的に湧き上がるトルク、シフトアップ。さらに 瞬間的に 湧き上がるトルク。さらに シフトアップ。
もはや、このエンジン に乗った後では、誰もが ピストン の上下動に伴う 1次振動 に常に支配される 直列4気筒 や、V型 6気筒 でさえ陳腐に思えてくるに違いない。 |
BC5 レガシィ がデビュー した時、ペントルーフ型燃焼室、センタープラグ、5ベアリング支持のクランクシャフトなどといったスペックの 「語る」 豊かな 「可能性」 に心を躍らせた。
そして、その後の 「進化」 は、スバル ばかりでなく、世界中に 「SUBARU」 というブランドを応援する人々を生み、そして、その人たちにもすばらしい 「果実」 をもたらした。
そして私は、また心躍らせている。
かつての EA 、そして EJ という、世界でも稀有な 「名機」の血を受け継ぐ、新たな スバル・ボクサー の誕生に。 | |
| スバリストなら、「今」 レガシィ 2.0 GT DIT を買ったとしても、決して後悔はないと断言できる。
なぜなら、かつての スバル1000、そして、BC/BF型 初代レガシィ の時と同じく、あなたは、その 「誕生の瞬間」 に立会い、そして愛でたことになるのだから。
私は レガシィ 2.0 GT DIT を買おうと決めた。 |
諸々の事情から、購入は 1年程度 掛かってしまいそうだが、今から BC5 レガシィRS と並べる日が来るのが楽しみだ。
ちなみに、購入をお考えの方に大切な情報をお伝えしておくと、レガシィ 2.0 GT DIT の Eyesight 装着車 は、現在のところ設定はない。
登場は 2012年 9月以降 なのだそうだ。 | |
今回、二つも すばらしい 新エンジン を投入してくれたのだから、「この時」 を待ちに待っていた方は、エコ機能が充実した FB25 を取るか、新たな 「伝説の誕生の瞬間」に立ち会うか、乗り比べて、悩む時間が たっぷり 「4ヶ月」 あることになる。
ただ、これまでの私の 「経験値」 から、もうひとつお伝えしておくと、レガシィ 2.0 GT DIT Eyesight は、好調な BRZ と同じく、多数の バックオーダー を抱えることは間違いない。
4ヶ月 たっぷり迷って ----- などと 悠長 に構えていると、さらに 首を 長く、長〜〜〜〜〜く して納車までの日々を過ごすハメに陥る可能性は非常に 「大」 である、とも言っておこう(笑)。
という訳で、長々と駄文を連ねてきたが、とにかく、クルマは乗らなければ分からない。
「某評論家がどう言った」 など、どうだっていい。
あなた自身が そのクルマ に乗ってどう感じたか、それが 世界で一番 大切なことなのだ。
今回も楽しかったな 〜〜〜。また次回も乗り倒しちゃおっと(笑)。 |